麹町ラプソディ
丸の内サラリーマン(ブラック)が日常を五行で切り取るブログ。たまに小説も書きます。
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サトイチ

Author:サトイチ
子どものまま大人になった、しがないリーマンのつぶやきです。
当ブログはリンクフリーですので、気軽にペタペタしてください。相互リンクの場合は是非コメント等に一言頂けると助かります。
あと、甘党です。

最近、小説ばっかり書いてますが、そのうち媒体を切り分けることも考えています。ただ、今はとにかく書くことが大事だということで、ひとまずこのまま混合して進めて行きます。



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22時。
私が家に帰る頃には、テレビはもうニュースくらいしか流れていない。


もうすぐ10歳になる息子と一緒に、ぼんやりと若者の過労死のニュースを見ていた。


息子がふと呟いた。


「生活するために、生きたくはないよね」


私は、なんとも言えない顔で息子を見た。



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テーマ:詩・想 - ジャンル:小説・文学

夏の終わり。
高層ビルに切り取られた雲は

籠の中の鳥を思わせた

陽の光を受けて

一方では影を落とし

直線的な悲哀に囲われていた




テーマ:詩・想 - ジャンル:小説・文学

7.「僕はカツ丼が食べたい」
「僕はカツ丼が食べたい」
 実際に言葉にしてみると、それはとても重要で重大なことのように思われた。丁寧に折り畳まれ、センスのいい海外の便箋に入れられた、秘密の手紙のような響きだ。
 そう、僕はカツ丼が食べたいのだ。何が悲しくて、パスタとサンドウィッチばかり食べて、ビールでナッツを流し込まなきゃならないんだ。何が完璧な絶望だ。冗談じゃない。

 今日も朝から雪が静かに降り注いでおり、暖かいはずの昼の光は厚い雲に遮られている。昼食後、僕の家に残ってコーヒーを飲んでいるのは夏と赤鼻だけだった。
「赤鼻さん、たまにはいい子にプレゼントくらいあってもいいんじゃないか?」と僕は尋ねた。
「それはサンタの仕事だ。俺のじゃない。もし仮に、ここにいい子がいたとしても、だ」
 互いのビジネスに踏み入らないのが、この街のルールだった。
「だいたい、カツ丼なんて学生課肉体労働者の食うもんだ。いい大人が食べるもんじゃない」と言って、赤鼻は鼻を鳴らした。

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テーマ:文学・小説 - ジャンル:小説・文学

6.「完璧なパスタなんて存在しない。完璧な絶望が存在しないようにね」
 いつも通り昼過ぎに散歩をしていると、老婆ではなくトナカイが向こうから来た。
「おお、新入りじゃないか」
 赤鼻は、鼻から勢い良く白い息を出し、吐ききれなかった分を口から出した。
「赤鼻さん、唾が飛んでますよ」
「冬だからな。唾も飛ぶさ。どこかの腐れロック野郎みたいに、頭が飛んでないだけマシだろう?」
 赤鼻は空に向かって鼻を鳴らした。


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5.「イタリアは孤独を輸出している」
「おばあさん、今日もいい天気ですね」と僕は老婆に挨拶した。
 老婆は僕の目を見て、「行動を伴わない想像力は、何の意味も持たない」と言った。
「チャーリー・チャップリン」
 僕と老婆は互いに微笑み、すれ違った。
 

 僕は引き続きパスタとサンドウィッチを作り続けていた。
 どんなパスタやサンドウィッチを作るかは自由だったから、僕の気分でペペロンチーノだったりクリームパスタだったり、BLTサンドだったりを作った。決まっていたのは、パスタかサンドウィッチを作ること。それも10キログラムを毎日作り続けることだった。大きな鍋に何度もパスタを放ち、またはひたすらに食パンを重ねて切っていた。作り終えた料理は夏に預けることになっている。
 冷めたパスタはおいしくないと思うのだが、預けた料理がどのように保存され、どのように分配されているかは僕にはわからなかった。夏に預け、僕の視界から消えると、それは概念としての存在に過ぎなかった。どこかにあって、どこにもない、僕の冷めたパスタ。

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