麹町ラプソディ
丸の内サラリーマン(ブラック)が日常を五行で切り取るブログ。
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サトイチ

Author:サトイチ
子どものまま大人になった、しがないリーマンのつぶやきです。
当ブログはリンクフリーですので、気軽にペタペタしてください。相互リンクの場合は是非コメント等に一言頂けると助かります。
あと、甘党です。

サークル「RoseBud」にて、定期的に一定のテーマで短編小説を書いています。
http://rosebud.syarasoujyu.com/Top.html



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【小説】 赤い屋根の家 4.西のケース
 「え?先輩、俺が取りに行くんすか!?」
 「当たり前だろ、他に誰がいるんだ」

 季節は夏、時刻は夜。
 人々は床につき、星々がその瞬きを強める頃、我々二人は不気味な池のほとりにやってきていた。

 「言いだしっぺは先輩じゃないですか。この前の指名手配犯の懸賞金のときだって、結局俺が行きましたよね?」
 「あれは不幸な行き違いだったな。それにほら、俺は体が弱いし」
 「高校のとき空手で全国大会に行った人が、何言ってるんですか。だいたい、まだ二十歳でしょ?」
 北条先輩は、180cmを超えた筋肉質の巨体を揺らし、咳をするマネをした。この前は腰をさすっていたような気がする。
 短髪に角ばった顔の先輩は、いかにも強面であるが意外に性格は優しく面倒見がいい。ただ、元来の好奇心からだろうか、時々こうして自らトラブルに首を突っ込む傾向がある。
 「そういうわけだ。啓太、いや、西くん。あとはよろしく。見つけたときの取り分は、七割持って行っていいから」
 今まで見つかったことなんてないですけどね、と言いながら、渋々ボートの準備をした。

◇◆◇



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【小説】赤い屋根の家 3.星野のケース
 「それで、結局のところ、呪いって何だったんですか?」
 助手席から、ハンドルを握る先輩に問いかけた。先輩は仕事帰りで、チャコールグレーのスーツに白いシャツが映えている。
 「うん、それがさっぱりわからなくてね」
 先輩は困ったように答え、「星野は、どう思う?」と私に聞き返した。
 あまりドライブに適切な話題ではないようにも思ったが、ミステリー研究会に所属する私としては、非常に気になる話題であった。

 先輩は大学のサークルのOBで、たまたまそのサークルの飲み会に顔を出した際に知り合った。私より6歳上で、しかも他のサークルを掛け持ちしていたから殆ど幽霊部員らしかったので、その飲み会で初めて存在を知った。
 歳は多少離れていたものの、私の隣町の出身であったためにすぐに打ち解け、メールのやり取りをするようになった。それから程なくして大学が夏休みに入ったため、実家に帰ることを口実に先輩に連絡したところ、先輩が仕事帰りに車で迎えに来てくれたのだ。親には、明日帰ることになったと連絡してある。完璧だ。世間はもう夏だが、私にもようやく春が来たのだ。もう、誰にも止められない。
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【小説】赤い屋根の家 2.小島のケース
 「ったく、ガス欠の車をパクってくる銀行強盗が、どこにいるってんだよ!」
 半田五郎は怒り狂い、目の前に落ちていた手紙の束を小島に投げつけた。
 「おい、小島!ちゃんと金は池に沈めてきたんだろうな?」
 私は、慌てて首を縦に振った。
 半田は息を大きく吐き、「これからの行動を検討する」と言って地図を取り出した。
 「尾上もこっちに来い」
 壁際の全身鏡を見ていた、くたびれた印象の女性がこちらに歩み寄る。肩くらいの長さの黒髪を後ろで一つにまとめている。私と半田より一回り若く、30歳ほどであるにも関わらず、何度拭っても染みついた不幸がとれない、といった顔立ちの女性だ。正直なところ、私はあまり好きではない。犬の鳴き声が、やけに近くに聞こえる。静かな夜だ。
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【小説】赤い屋根の家 1.作田のケース
 国道の緩いカーブに合わせて芳樹がハンドルを切ると、僅かに慣性を感じた。夏とは言え日はとうに暮れ、灯りもなく森の中を縫って行く夜道は、もう二十六歳になる芳樹にとっても薄気味の悪いものであった。隣町に転勤になってから、仕事はそれなりに充実しているが、毎日この国道を通らなければならないのはちょっとした苦痛であった。しかし、今日は助手席に女性がいる分、気持ちは華やいでいた。

 「そう言えば、この道をもう少し行くと、赤い屋根の家があってね」
 会話の間を埋めるように、芳樹は話し出した。子どもの頃の話だから、笑わないで欲しいんだけど、と前置きをして。

「その赤い屋根の家は、呪われていたんだ」

 あれは確か、小学五年生のちょうど今頃、夏休みの終わりだった。
 間を埋めるのに適切な話題であったかはわからないが、僕は思い浮かぶままに当時のことを語り始めた。

 ◇◆◇
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