麹町ラプソディ
丸の内サラリーマン(ブラック)が日常を五行で切り取るブログ。たまに小説も書きます。
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サトイチ

Author:サトイチ
子どものまま大人になった、しがないリーマンのつぶやきです。
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過ぎ去る日々は思い出に変わる。
小さい頃、3つ年上のいとこのお兄さんが家に遊びに来ると


兄弟のいない僕はとても嬉しそうにオセロを持って飽きずにせがんだ


8年前の寒い冬の夜、兄は職場から車で帰る途中、大型トラックと正面衝突をして他界した


遺影は今でもあの頃の笑みを浮かべていて、いつの間にか僕の方が歳を取ってしまった


今でもふと兄が突然遊びに来るのではないかと、遊び相手のいないオセロを、未だに整理できずにいる


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テーマ:詩・想 - ジャンル:小説・文学

形があって形がないもの。
幼い頃、私の唯一の友達だったそれは


ある時は山であり、ある時は城であった


私のイメージを黙々と受け止めてくれたそれは


今も誰かの情熱を、涼しげに包み込んでいる


そして今度は、私がそれになり、誰かに受け継がれていくのだ


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テーマ:詩・想 - ジャンル:小説・文学

「さよなら」を言う前に。
限られた日々の中で


僕はあと何度、君の名を呼べるだろう


薄れゆく意識の中で


僕はあと何度、ありがとうと言えるだろう


過ぎ行く日々の中で、僕はいったい君に、何が残せるのだろう


テーマ:詩・想 - ジャンル:小説・文学

時の最果て。
朝霞の中、かすかな光沢を得た石畳を登る


ギリシャの猫は、人馴れしているのかどこかふてぶてしく


それでいて何故か、品があるように見えた


エーゲ海の風は、すべてを緩やかに運んでいく


人も、木々も、雲も、猫も、その流れの中で、穏やかに混ざり合っていく



テーマ:詩・想 - ジャンル:小説・文学

蟻の巣。
久しぶりに、本当に久しぶりにビルのない、地平線が続く場所に出た


遮るものは無いもない


僕は草むらに寝転がると、視界一杯の青空を、西から巨大な黒雲の群れが埋め尽くすのを眺めていた


空全体が、まるで生き物のように躍動して行く


僕はしばらく、ヒステリックな雷雨に打たれるがまま、宇宙の大きさに想いを馳せていた


テーマ:詩・想 - ジャンル:小説・文学

幸運の女神。
もしも僕らに腕が二本しかないとするならば


何かを得ることは何かを失うことだろう


人はみな「得たい」と思う一方で「失いたくない」と思うから


色んなものが素通りしていく


そして、「失いたくない」と思ったものまで失っていく


テーマ:詩・想 - ジャンル:小説・文学

どこかの誰かを求めて。
帰り道、通りがかった薄暗い公園のベンチに、男と女が座っていた


二人は肩を寄せ合い、何やら笑っている


私は、見てはいけないものを見てしまったかのように視線を逸らした


そこは閉じられた二人だけの世界で、私は邪魔者だった


私が存在して良い世界は、どこかにあるのだろうか



テーマ:詩・想 - ジャンル:小説・文学

死に至る病。
今からちょうど20年前、電車も通らないような田舎の中の、変化のない日々の繰り返しに嫌気がさし


僕は故郷を捨てて飛び出した


街は刺激で溢れていて、魅惑的なほど変化に富んでいた


変化は成長を、成長は自己否定を強制し、次第に僕は街の毒牙に蝕まれていった


20年ぶりに訪れた田舎の、しかしあの頃と変わらぬ朝日を見て、僕は何だか許された気がした



テーマ:詩・想 - ジャンル:小説・文学

深淵を覗く者は、深淵からもまた、覗かれている。
一人きりの夜、心の海を泳いでいると


遠くにいた毛むくじゃらの醜い怪物と目が合った


僕は思わず目を背け、来た道を急いで引き返した


その怪物が哀しそうな顔をするから、僕は胸が痛んだ


いや、僕が目を背けたから、僕の胸が痛んだのかも知れない



テーマ:詩・想 - ジャンル:小説・文学

柔らかな風が吹くこの場所で。
小高い丘を登ると、背の低い緑が生い茂り、白と黄色の花が色を添えた


空は優しく微笑み、子どもがはしゃぐように風が通り抜けていく


目を閉じれば、今はもう空に溶けてしまった君の姿がありありと浮かんでくる


一緒にいられた時間はほんのわずかだったけれど、あのとき言いそびれた言葉を伝えに来たんだ




――――ありがとう。君と出会えて、本当に良かった。



テーマ:詩・想 - ジャンル:小説・文学

いつでもそこにあったもの。
初夏の陽射しが暖かく感じる


ゆったりと電車の音が流れる


空気が押し出され、目に見えない境界が体を通り抜けていく


風を感じたのは何ヵ月ぶりだろう


木々の揺らめきに目を向けたのは、何年ぶりだろう


テーマ:詩・想 - ジャンル:小説・文学

千年の孤独。
気まぐれな神様は、ある男の子に万物を授けた


男の子は一度見たものはすべて記憶し、誰よりも頭の回転が速く、絵筆を取らせたら画家をうならせ、バイオリンを取れば世界で表彰された


周りの人間は誰もが彼の尽きることのない才能を称賛し、多くの人が彼と会話をすることを望み、握手を交わすことができたことを心から喜んだ


しかしあるとき、彼は唐突に、周りの人間が語りかけているのが「自分」ではなく「彼の才能」であることに気がついた


彼の心に語りかける者は誰一人としていなく、彼自身どのような言葉を投げかけて欲しいのかわからなかったから、彼はその扉がひとりでに開くのを、ただじっと待つより他なかった


テーマ:詩・想 - ジャンル:小説・文学

愛されることに慣れてしまう前に。
もう無理で、引き裂かれて千切れてしまいそうなとき


あなたの声を聞くだけで許されている気がする


ここにいて良いんだと思える


もう少しだけ頑張れる気がする


でもあなたにとって、私はそういう存在でいられているだろうか


テーマ:詩・想 - ジャンル:小説・文学

水面に石を投げ込むように。
あれから何年も経って、すっかり忘れたつもりでいたけれど


たまに来るメールや、誰かと付き合ったり別れたりの風の噂に


びっくりするほど一喜一憂して


今更どうにかなるわけないと自分を慰めつつ


あのとき言えなかった言葉を何度も繰り返す


テーマ:詩・想 - ジャンル:小説・文学

あの頃僕らは何かを掴めると信じて夢中で手を伸ばした。
すべてが終わると、僕は右手を見つめた


何か大きなものを掴むはずだった右手


君が眠りに落ちるまでそっと頭を撫で続けた右手


世界から愛想を尽かされた右手


生き甲斐だったギターはおろか、箸さえも掴めなくなった手で、僕は何が掴めるというのだろうか


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テーマ:詩・想 - ジャンル:小説・文学

幸せという名の不幸。
人は「幸せ」という概念を作り出してから、「不幸」に苛まれるようになった


一番楽しかったり、嬉しかったり、理想的な状態だけが「幸せ」であり、それ以外は悪で、「幸せ」を追い求めるようになった


今ある何かは「当たり前」であり、そこにはない「何か」を延々と求めるようになった


「幸せ」とはなんだろうか


それを求めることが、本当に「幸せ」なんだろうか

テーマ:詩・想 - ジャンル:小説・文学

求めれば求めるほどに。
語れば語るほど、言葉は逃げていく


言葉を尽くせば尽くすほど


その意味は遠くに消えていく


好きになれば好きになるほど


その距離を遠く感じる


テーマ:詩・想 - ジャンル:小説・文学

穏やかな日々。
夏の縁側に腰掛けていると


「世界は俺を中心に回ってるんだ」という顔をした大柄な猫がのそのそとやって来た


頭を撫でようとするとそっぽを向き


こちらがそっぽを向くと擦り寄ってくる


どちらが遊んでるのかよくわからないうちに、静かに日が暮れていた


テーマ:詩・想 - ジャンル:小説・文学

重なる影、そのもう少し向こう。
僕達はベンチに腰掛け、名残惜しそうに夕日を見つめた


カラスが鳴く


繋いだ手が汗ばんでいる


二人だけの時間が沈んでいく


言葉がうまく出てこなくて、僕は何度も唾を飲み込んだ



テーマ:詩・想 - ジャンル:小説・文学

同じ空の下、違う場所、交わらない人生。
3階のベランダから、雨上がりの空を見ていた


膨張した悪意を敷き詰めたようなドス黒い雨雲は、ビルの谷間の向こうへと流れて行った


雲の切れ目のこちらでは「雨が上がった」と喜びと安堵の声を上げ


雲の切れ目の向こうでは「雨が降ってきやがった」と落胆に染まっているのだろう


流れていく世界の中で僕はあまりにちっぽけで、雨は止んだというのになかなか気持ちが晴れなかった



テーマ:詩・想 - ジャンル:小説・文学

猫から見た「人間」は、どう見えるのだろうか。
時々ふと、世の中の全てが白々しく見える


無味乾燥な数字の目標を与えられて、それが全てで、自分の価値がそれで決められる


自分がいなくても、世界は何事も無かったのかのように回って行くのだろう


万に一つのありがとうを集め、数えきれぬほどの罵詈雑言を受け、それが生きるということなのだろうか


そもそも「生きる」とは何かを考えること自体、生物として不自然なのだろうか



テーマ:詩・想 - ジャンル:小説・文学

星。
君とあと何度、この空を見上げることができるだろう。


君は会うたび、新しい星座を描き出す。


偶然に散りばめられた点と点を、意味という糸で紡いでいく。


まるでそれが、必然であるかのように。


君と早く新しい星座を描きたくて、僕は今日も此処で君を待つ。



テーマ:詩・想 - ジャンル:小説・文学

まだ僕らが透明であった頃。
時間を極限まで薄く引き伸ばして緩くかき混ぜたような、ある夏の昼下がり


河原に寝そべり空を見上げると、世界は青と白だけで表現された


遠くからどこかの学校の吹奏楽部の練習の音が聞こえる


耳を澄ませば、川のせせらぎが聞こえる


右手を伸ばせば、あの白い雲を掴める気がした



テーマ:詩・想 - ジャンル:小説・文学

雨上がりの昼下がり。
帰り道、それまでの好天が嘘のように、突然の雷雨が私達を取り囲んだ


一つの折り畳み傘を二人で使おうとすると、互いの肩を濡らすことになる


相手を濡らすまいと互いに傘を押し付け合い、傘は「勝手にしてくれ」という表情を浮かべている


家に着くと、二人は傘をたたみ、お互いのずぶ濡れの肩を笑った


そして、二人の真ん中には優しさが残った



テーマ:詩・想 - ジャンル:小説・文学

人はそれを魔法という。
「何で好きなの?」という問いには、いつも困惑させられる


「可愛いから」と答えると、「可愛くなかったら好きじゃないの?」


「笑顔が好きだから」と答えると、「笑顔以外は好きじゃないの?」


「夢を追いかけてるから」と答えると、「夢が破れたら?」


愛は因果関係じゃないのだから、因数分解もできないし、明確な理由なんてないのですよ



テーマ:詩・想 - ジャンル:小説・文学

夢。
カナダのトロント行きの飛行機がゆっくりとその羽を休めると


私は20年の時の流れを確かめるように、静かに空港を後にした


9月のトロントの空気は少し肌寒かったが、私は20年ぶりに会うかつての教え子のことで頭がいっぱいだった


屈託なく笑う、宿題をよく忘れる、お調子者のあの子は、どのような成長を遂げているだろうか


少しの心配と大きな期待を胸に、私は車を走らせる



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テーマ:詩・想 - ジャンル:小説・文学

あなたが傍にいることで。
昨日から降り続く雨は、より一層激しさを増している


久し振りのデートの約束は流れ、二人で家のテレビをひたすら眺めている


彼女に「ごめんね。」と言うと、彼女は入れたてのコーヒーをそっと置き


「それが人生よ。」と言って笑う


こんな何でもない日々が、ずっと続いて欲しいと願う



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君が見ていたもの。
今からちょうど7年前の少し肌寒い夜、僕は不意に別れを告げられた


世界は音を立てて崩れ、その意味を無くした


僕はただただ自分を責め、自分が変われば、成長すれば、きっと振り向いてくれると信じて努力した


服装が変わり、言動が変わり、趣味が変わり、友人が変わり、人に自慢できるような目標も達成した


多くの人は僕を評価してくれるようになったけど、7年経って、本当に必要だったのはそんなことじゃなかったことにようやく気がついた


テーマ:文学・小説 - ジャンル:小説・文学

全てが曖昧に溶けていき、事実は願望へと変わる。
君と見た空は、いつからか遠く感じるようになって


思い出の中に深く沈み、綺麗な上澄みだけが残っている


風のざわめき、草の匂い、君の笑い声


擦り切れるまで再生して輪郭も曖昧になり


ただ楽しかったという感触だけが残っている




テーマ:文学・小説 - ジャンル:小説・文学

雪解けは遠く。
触れるだけで不快に感じる人、というのが稀に存在する


話も面白いし、理解もあるし、良い面もあるのだけれど、同じ空気を吸っているだけで不快に感じてしまう


それはきっと、存在する距離が近すぎるということなのだろう


磁石が反発しあうように我々は反発し


それでも距離を維持するために多大な労力を消費する



テーマ:文学・小説 - ジャンル:小説・文学