麹町ラプソディ
丸の内サラリーマン(ブラック)が日常を五行で切り取るブログ。たまに小説も書きます。
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サトイチ

Author:サトイチ
子どものまま大人になった、しがないリーマンのつぶやきです。
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目的地を探して。
白黒の画面には、藁を編む少女が写っている


昔と比べて、私たちは間違いなく物質的に豊かになっている


その頃と比べて、負担は少なくなっている


毎日ごはんが食べられる


ならば何故、心が糸の切れたタコのようにふわふわと彷徨うのだろう


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テーマ:詩・想 - ジャンル:小説・文学

おやゆび姫。
散りゆく花の中で


私は眠りに落ちる


重なる意識を抱いて


私は恋に落ちる


散りゆく花の中で



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Blue in Green。
薄暗いバーのカウンターに、遊び慣れた40代の男がグラスを揺らしている 


男はこれから来る黒髪の綺麗な女のことを考える 


そして、この先どんなに素敵な出会いがあったとして、手をつなぐだけで躊躇した10代の感情の高ぶりを感じることはもう無いことを噛み締めた 


店内にはマイルス・デイビスの「Blue in Green」が流れている 


バーのマスターは、静かにグラスを拭き続けている 



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本当に大切なものは、目に見えない。
駅のベンチに座っていると、見知らぬ老人から話しかけられた


話を聞くと、透明な杖をなくしてしまったそうだ


数人で辺りを見回すが、透明なせいで誰も見つけることができない


老人にとって、その杖はとても大切なものなのに、透明だから他の人にはそれが見えない

老人にとって、その杖はとてもとても大切なものなのに、透明だから他の人にはそれが見えないのだ


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顔色を窺いながら。
あるところに、一匹の大人しい子犬がいた


その子犬はさして吠えることもなく、じっと座っていた


ご飯が出てきても、一度遠慮をしてから申し訳なさそうに食べていた


飼い主は、人と関わりたくないのかとなるべくそっとしておいた


本当は「居場所」に敏感だっただけなのに


テーマ:詩・想 - ジャンル:小説・文学

鈍痛の霧雨。
9月のオーストリアは、何かを拭うように雨が降る


楽しかった思い出も、あの人を亡くした悲しみも


静かに地面に染み込んでいく


どこからかショパンの「雨だれ」が聞こえてくる


それはどこか、遥か遠くの出来事に聞こえた




メアリー・カサット「Young girl at a window」
メアリー・カサット「Young girl at a window」
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僕らは回し車を走り続ける。
東京の地に降り立つと、苛立ちと焦りを煮詰めたような湿気が肌にまとわりついた


ここでは人は記号であり、情報である


世界は掌の長方形の液晶に閉じ込められている


人々は近く、遠い


何かに追い立てられるように、電車がそれを運んでいく



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そして緩やかに死んでいく。
椅子に腰掛けた男は、苦渋の表情を浮かべる


人は二択を迫られたとき、無意識に「どちらが正しい道か」を考える


どちらも正しいかも知れないし、どちらも間違いかも知れない


男は「間違えたくない」と思うあまり、完璧で絶対的な答えを求め


いつまでも立ち上がれずにいた



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氷と雪とクレバス。
最初はほんのわずかだった亀裂は


時が経つにつれて傷口が乾いて固まるように


徐々にその関係性を固着させ、強調する


取り返しのつかないほど深い深い溝であることを


都合の良い未来とともに見つめ、何度もなぞるように確かめる


テーマ:詩・想 - ジャンル:小説・文学

鳥になりたい。
深夜、公園のベンチにしわの深い背広の男が座っている


彼はうつむき「いっそ、鳥になりたい」と呟く


足元の鳥は「鳥になる覚悟はあるのか?」と問う


鳥になりたいんじゃない、目の前の現実から逃げたいだけではないのか?


自分以外の世界は、すべて平穏だと思っているのではないか?



テーマ:詩・想 - ジャンル:小説・文学

インディアンの午後。
それまで信じていた何かを失うとき


人は無意識に居場所を求める


人生とは、居場所を求める旅である


たとえ一つでも自分の居場所があるものは幸せである


自分が誰かの居場所となれた者も、また幸せである



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風の終点。
ここは忘れられた場所


あの日の笑い声、暖かな日差し、柔らかな風は


遥か遠い空の向こうに


鳥たちは名残り惜しそうに何かを啄み


思い出を求めてどこかへ飛び去って行った



ミレー「鳥のいる風景」
ミレー「鳥のいる風景」

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揺りかご。
「ごめんなさい、でもあともう5分だけ」


夜明け前、空気が肌にまとわりつくような、少し肌寒い朝


女には、他の男との約束の時間が迫っていた


「この子はどんな子に育つかしら」


もう後戻りできない瀬戸際で、女と母の間で揺れていた



モリゾ「揺りかご」
モリゾ「揺りかご」

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時の牢獄。
灰色の風が吹くと


すべてが灰色に染まっていく


時間は止まり、すべては繰り返す


自分だけが一人歩きして


終わらない孤独を繰り返す


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おぼろ気な優しさ。
山間の長いトンネルを抜けると


視界いっぱいに光が広がった


陽に照らされた木々の葉が夏を彩る


幼い頃に遊びに行った、祖母の家を思い出す


夏の縁側、スイカ、セミの鳴き声、風鈴の音、、、


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苦しみのループ。
「こんな会社、辞めてやる」


同僚がいつもの台詞を繰り返す


人は息をするように不満を吐きながら


本当にそれをどうにかしようと思う人は少なく


実際に行動に移す人はさらに少ない



テーマ:文学・小説 - ジャンル:小説・文学

心の錨。
久しぶりに昔の同級生に会うと


変わっていないことに安心を覚えた


数年の時間はあっという間に埋まり


それは故郷に帰ったかのような


自分の戻るべき場所を感じたひと時だった



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箱入り。
「ねぇ、なぜあの百姓は、この暑い中、畑を耕しているのかしら。誰かに日傘でも差させたらいいのに。」


「そうですね、お嬢様。」


夏の照りつける日差しも、吹き抜ける風も、砂埃も


重厚な壁が、召使いが防いでくれる


自分の存在が、誰かの犠牲の上に成り立っているとは、考えもしなかった




フランシスコ・デ・ゴヤ「パラソル」
フランシスコ・デ・ゴヤ「パラソル」

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背伸びしたい年頃。
世界一高い木を目指して


上へ上へと背を伸ばして行った木は


腰を曲げた老人のように見えない天井に押しとどめられた


地に足をつけて呼吸をし、1つ1つ年輪を重ねた木は


気がつけば誰よりも遠く地の果てまで見渡せるようになっていた


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物質的な豊かさと精神の揺らぎ。
フランスのパリにあるオルセー美術館には、印象派を中心に19世紀の名画が数多く貯蔵されている


美術の教科書に載っているような作品達に囲まれ、その場の空気を吸うだけで高尚な気分に浸ることができる


産業革命が人々の生活を、心を変えていく中、画家たちはその豊かな感性でそれを切り取った


ある者は人々の心の変化を捉え、ある者は時代の先を見据え、ある者は失われた何かを探し求めた


この場所は、そんな19世紀という時代の大きなうねりを、凝縮して大切に保存しているのである



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水のあげ過ぎは根を腐らせる。
母はやっと授かった息子を大事にするあまり


何でも惜しみなく与え


何不自由なく生活させた


愛され過ぎた子どもの常として


彼は人の心を理解することができなかった



ジャン=バティスト・グルーズ「The Spoiled Child」
ジャン=バティスト・グルーズ「The Spoiled Child」

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セーヌ河畔の午後。
まるで遥か昔からそうであったかのように


川はすべてを緩やかに運んでいく


100年前も、100年後も


川はすべてを包み込むように


優しく流れていく



モネ「ラ・グルヌイエール」
モネ 「ラ・グルヌイエール」

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守り抜く意思。
娘の急病に驚き、足腰の立たなくなった老人は


ただただうろたえ、両手を組んで天に祈りを捧げている


老婆は娘のために、生贄の子羊を選定し、小脇に抱えている


子羊は虚ろな眼差しで床を見つめて、自らの運命を受け入れている


いつの世でも、母は強いのである


レンブラント_トビトとアンナ

レンブラント 「トビトとアンナ」

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職人の世界。
気難しそうな顔をした職人が、彫りの深い彫刻のような佇まいで座っている

職人だから気難しそうなのか

気難しそうだから職人なのか

大時計の振り子の音が、やけに大きく聞こえる

時計の修理に来ただけなのに、人生の意味を考えてしまうくらい、僕まで気難しい顔になっていることだろう

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あの頃の僕に。
イスラエル南部のネゲブ砂漠を、ラクダの背に揺られること数日


照りつける太陽と照り返す砂地は、喉の奥から水分を根こそぎ奪っていく


前方を歩く少年に追いつき、「どこへ行くんだ?」と声をかける


「Everywhere but here.」と少年はつぶやく


ここではないどこか、なんて何処にも無かったよと遠い目で答える



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未来の記憶。
星が空から零れると


遠い日の願い事を思い出す


あの日必死に繰り返した願い事は


静かな夜に届いたのだろうか


不意に涙が溢れ、零れ落ちた



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思い描いた日々。
肺いっぱいに空気を吸い込むと


草の匂いと太陽の情熱で胸が満たされた


いつの間にか抱え込んでいた重たい荷物の数々は


放り投げてみると意外とあっさりで


等身大の存在が、静かに風を受け止めている


テーマ:文学・小説 - ジャンル:小説・文学

利己的な献身。
人よりも辛くて苦しい役割を自ら選ぶのは


自己犠牲でも他者への愛でもなく


自分の痛みで許されている気がするから


人に見返りを求めないのは


それ自体が自分への見返りだから



テーマ:詩・想 - ジャンル:小説・文学

小さな世界を守るため。
失うものなどなかったあの頃


僕たちには無限の可能性があった


失うことを知った今


世界は急激に狭まっていく


ほんのわずかな大切なものを守るため、僕たちは全力で戦っている


テーマ:詩・想 - ジャンル:小説・文学