麹町ラプソディ
丸の内サラリーマン(ブラック)が日常を五行で切り取るブログ。たまに小説も書きます。
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サトイチ

Author:サトイチ
子どものまま大人になった、しがないリーマンのつぶやきです。
当ブログはリンクフリーですので、気軽にペタペタしてください。相互リンクの場合は是非コメント等に一言頂けると助かります。
あと、甘党です。

最近、小説ばっかり書いてますが、そのうち媒体を切り分けることも考えています。ただ、今はとにかく書くことが大事だということで、ひとまずこのまま混合して進めて行きます。



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意識と物体の間。
あるところに、天才的に病的な外科医がいた


夜、麻酔で深く寝入った私の頭を彼は滑らかに切断し


頭骨を開け、大脳を切り離し、前頭葉を丁重に持ち上げ、労わるように視神経をクーパーで切断した


脊髄をも切り離し、物体として解き放たれた大脳を彼はひとしきり眺めたあと、それを丁寧に中にしまい、神経をつなぎ、頭骨をはめた


全ては元通りとなり、目を覚ました私は、果たして何者なのだろうか





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夕闇、生き急ぐ彼ら。
黒猫が夕闇にまどろんでいた


人も風も通り過ぎ


時間さえも慌ただしく駆け抜ける中


その猫は悠然と斜陽を黒い毛並みに受け止めていた


旅人に詰問する古代の神のように





テーマ:詩・想 - ジャンル:小説・文学

二十代、夏、冷蔵庫の音が響く部屋で。
即物的な愛を求めて


打算的で効率的な関係を築いては壊し


自傷的で自嘲的な記憶のかけらをバラ撒いた


信じられるものは触れているものだけで


価値があると誰かが言ったことを信じ込んでいた



テーマ:詩・想 - ジャンル:小説・文学

夜想曲。
ありきたりな春を紡いで


君のいた夏を思った


秋の調べは耳に優しく


冬の夕影を背にした


手から零れた愛しさを拭った



テーマ:詩・想 - ジャンル:小説・文学

【小説】 赤い屋根の家 4.西のケース
 「え?先輩、俺が取りに行くんすか!?」
 「当たり前だろ、他に誰がいるんだ」

 季節は夏、時刻は夜。
 人々は床につき、星々がその瞬きを強める頃、我々二人は不気味な池のほとりにやってきていた。

 「言いだしっぺは先輩じゃないですか。この前の指名手配犯の懸賞金のときだって、結局俺が行きましたよね?」
 「あれは不幸な行き違いだったな。それにほら、俺は体が弱いし」
 「高校のとき空手で全国大会に行った人が、何言ってるんですか。だいたい、まだ二十歳でしょ?」
 北条先輩は、180cmを超えた筋肉質の巨体を揺らし、咳をするマネをした。この前は腰をさすっていたような気がする。
 短髪に角ばった顔の先輩は、いかにも強面であるが意外に性格は優しく面倒見がいい。ただ、元来の好奇心からだろうか、時々こうして自らトラブルに首を突っ込む傾向がある。
 「そういうわけだ。啓太、いや、西くん。あとはよろしく。見つけたときの取り分は、七割持って行っていいから」
 今まで見つかったことなんてないですけどね、と言いながら、渋々ボートの準備をした。

◇◆◇



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テーマ:文学・小説 - ジャンル:小説・文学

未明。
大きくなるにつれて世界は小さくなり


手負いの象が首を垂れる


繰り返す日々は靴の底を磨り潰し


加速する輪の中に閉じ込めようとする


鳥が鳴き、人は笑い、電車は音を立てて風を運んでゆく




テーマ:詩・想 - ジャンル:小説・文学

【小説】赤い屋根の家 3.星野のケース
 「それで、結局のところ、呪いって何だったんですか?」
 助手席から、ハンドルを握る先輩に問いかけた。先輩は仕事帰りで、チャコールグレーのスーツに白いシャツが映えている。
 「うん、それがさっぱりわからなくてね」
 先輩は困ったように答え、「星野は、どう思う?」と私に聞き返した。
 あまりドライブに適切な話題ではないようにも思ったが、ミステリー研究会に所属する私としては、非常に気になる話題であった。

 先輩は大学のサークルのOBで、たまたまそのサークルの飲み会に顔を出した際に知り合った。私より6歳上で、しかも他のサークルを掛け持ちしていたから殆ど幽霊部員らしかったので、その飲み会で初めて存在を知った。
 歳は多少離れていたものの、私の隣町の出身であったためにすぐに打ち解け、メールのやり取りをするようになった。それから程なくして大学が夏休みに入ったため、実家に帰ることを口実に先輩に連絡したところ、先輩が仕事帰りに車で迎えに来てくれたのだ。親には、明日帰ることになったと連絡してある。完璧だ。世間はもう夏だが、私にもようやく春が来たのだ。もう、誰にも止められない。
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幸福の結末。
幸福な中流家庭で不自由なく育った娘の一つの典型として


彼女は自分の価値観に沿わないものを敵とみなした


社会的な地位も得て、ますますそれは増長し


相手が折れるまで論理の鈍器で叩き続け


柔らかい卵の殻に包まれながら身の丈に合わぬ武器を振るい続けた



そして羊はめぐる。
村のはずれに、小さな丘があった


上に登ると、開放的な午後の日差しが村一面に広がっているのが見えた


春の陽気に、羊達も満足そうな顔で草を食んでいた


樹々は身を揺らし、葉を自慢した


やれやれ、と僕は言った




渇いた叫び。
ガード下の騒がしい居酒屋で一時の安らぎを得る


どこにも行き着かない、吐いて捨てるだけの言葉が飛び交う


そこに集う者にはそれが安らぎであり


どこにも行き着かないことが癒しでもある


酩酊は痛みを紛らわせ、ある種の高揚が浮遊して行く



再生。
窓を開けよ


木漏れ日を浴びて


水の音に耳を澄ませ


世界は許容する


孤独の調べは繰り返して




蜜の味。
その花は、他人の秘密が大好きだった


止まる蜜蜂から情報を集め


次の蜜蜂に尾ひれとともに渡し


花弁に蜜を蓄えた


蜜蜂の秘密までも渡すようになると、次第にその花に止まる者はいなくなった




【小説】赤い屋根の家 2.小島のケース
 「ったく、ガス欠の車をパクってくる銀行強盗が、どこにいるってんだよ!」
 半田五郎は怒り狂い、目の前に落ちていた手紙の束を小島に投げつけた。
 「おい、小島!ちゃんと金は池に沈めてきたんだろうな?」
 私は、慌てて首を縦に振った。
 半田は息を大きく吐き、「これからの行動を検討する」と言って地図を取り出した。
 「尾上もこっちに来い」
 壁際の全身鏡を見ていた、くたびれた印象の女性がこちらに歩み寄る。肩くらいの長さの黒髪を後ろで一つにまとめている。私と半田より一回り若く、30歳ほどであるにも関わらず、何度拭っても染みついた不幸がとれない、といった顔立ちの女性だ。正直なところ、私はあまり好きではない。犬の鳴き声が、やけに近くに聞こえる。静かな夜だ。
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冬、木枯らし。
枯れた木々が星を纏い


揺れて瞬く様が流れ行く


人々は足早に去りて


それぞれの輪へと向かう


潮が満ちて引くままに



誰も知らない森の奥で倒れる木々。
北風に吹かれて


僕は負けじと足を踏み鳴らした


枝が折れ乾いた音が響く


音は耳に届かぬ間に風に運ばれてゆく


遠いどこかで誰かが泣いた



いつかどこかで星の降る夜に。
抽象化された理想に酔い


理想化された愛情を求め


偶像化された概念を崇拝する


日々はどこまでも浮遊し


地に足の着かぬ様を星と笑う




テーマ:詩・想 - ジャンル:小説・文学

隙間を埋めるように。
辞めたいやりたくないやってられない


世界はそんな言葉で満ちていた


あれがしたいこれがしたい何になりたい


子どものころはそんな言葉で満ちていた


世界は表情を変え、カタカタと音を立てる




セザンヌ 「頭蓋骨と少年」
セザンヌ 「頭蓋骨と少年」

テーマ:詩・想 - ジャンル:小説・文学

雨だれ
週末の雨は音を運ぶ


4分音符に8分音符、時折3連符


打ち付けるようなクレシェンド


不安から絶望、衝動的な渇望


そして次第に雨が上がる




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【小説】赤い屋根の家 1.作田のケース
 国道の緩いカーブに合わせて芳樹がハンドルを切ると、僅かに慣性を感じた。夏とは言え日はとうに暮れ、灯りもなく森の中を縫って行く夜道は、もう二十六歳になる芳樹にとっても薄気味の悪いものであった。隣町に転勤になってから、仕事はそれなりに充実しているが、毎日この国道を通らなければならないのはちょっとした苦痛であった。しかし、今日は助手席に女性がいる分、気持ちは華やいでいた。

 「そう言えば、この道をもう少し行くと、赤い屋根の家があってね」
 会話の間を埋めるように、芳樹は話し出した。子どもの頃の話だから、笑わないで欲しいんだけど、と前置きをして。

「その赤い屋根の家は、呪われていたんだ」

 あれは確か、小学五年生のちょうど今頃、夏休みの終わりだった。
 間を埋めるのに適切な話題であったかはわからないが、僕は思い浮かぶままに当時のことを語り始めた。

 ◇◆◇
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テーマ:文学・小説 - ジャンル:小説・文学

団欒。
僅かな光を頼りに、身を寄せていた


芋を茹で、芋をつまみ、芋を頬張る


芋は乾き、紅茶とともに飲み下した


窓からは隙間風、外では雨が続いている


その後戦争で散り散りになるまで、退屈な時間の有難さに気づくことはなかった



ゴッホ 「ジャガイモを食べる人たち」
ゴッホ 「ジャガイモを食べる人たち」

テーマ:詩・想 - ジャンル:小説・文学

小さな世界。
見るものすべてに脅えていた


恐れることすら恐れ


怖がることを怖がっていた


一歩踏み出すとそれは霧のように


世界は色に満ちていることを知った




テーマ:詩・想 - ジャンル:小説・文学

アルプスの午後。
羊が語った。


どんなに素敵な思い出も、いつかは風化し、忘れられて行く。哀しいことではないかね?


僕は答えた。


思い出は、忘れるから思い出なんだ。消えるからこそ尊い。違うかな?


それは、君がまだ若いからさ。羊は笑った。



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