麹町ラプソディ
丸の内サラリーマン(ブラック)が日常を五行で切り取るブログ。たまに小説も書きます。
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サトイチ

Author:サトイチ
子どものまま大人になった、しがないリーマンのつぶやきです。
当ブログはリンクフリーですので、気軽にペタペタしてください。相互リンクの場合は是非コメント等に一言頂けると助かります。
あと、甘党です。

最近、小説ばっかり書いてますが、そのうち媒体を切り分けることも考えています。ただ、今はとにかく書くことが大事だということで、ひとまずこのまま混合して進めて行きます。



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【小説】赤い屋根の家 9.秋豆のケース
 秋豆景子(あきずけいこ)は、夏の戸口に立っていた。
「うーん、申し訳ないんだけど、心当たりはないですねぇ」
 連日の猛暑の中、海山という若い警察官が聞き込みに来ていた。先日の銀行強盗に関連する件である。当初は銀行強盗との報道で、ニュースの地方枠として小さく取り上げられていたが、その潜伏先であった建物近くの池から大量の人形が出てきたことから、昼のワイドショーの格好のネタとなっていた。専業主婦である秋豆は、毎日流れてくる下衆な報道にうんざりしていた。子どもも小学校に上がったことだし、そろそろ少しくらい働きに出るのもいいかもしれない。
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ベジタリアン。
「肉は可哀想だから食べないの」と彼女は行った


言葉を持たないレタスを咀嚼し


シルクのレースがついた可愛らしい服がよく似合っていた


彼女の足元には蟻が一筋の群をなし


手にしたソフトクリームはコチニール色素で彩られていた



【小説】赤い屋根の家 8.海山のケース
 海山康平は、警察署の冷たい夕暮れのデスクの上で頭を抱えていた。
「もうダメだ。頭がどうにかなりそうだ」

 先月の銀行強盗事件については、犯人グループの主犯格の逮捕(一名は仲間割れにより射殺されていた)により、一応の決着を見た。そのため、残務処理が課長とまだ若手である海山に託されたのだが、課長が多忙であるため必然的に海山が一人でほぼすべてを抱えることになっていた。

「半田は子どもを殺せと指示したと言うし、でも撃たれたのは若い男だったし、池の底から大量の人形は出てくるし、その中に子どもはいなかったし」
 海山がぶつぶつ独り言を呟いていると、不意にプライベートの携帯電話が振動した。デスクの下でこっそり見ると、先日サークルの飲み会で話をした後輩の星野からのメールだった。
『今日から夏休みで実家に帰るのですが、もしよろしければまたお話できませんか?』
 これ以上この事件について考えていると、頭が割れてしまいそうだったので、気分転換に星野を駅まで車で迎えに行くことにした。ここのところずっと根を詰めていたし、金曜の夜くらいいいだろう。

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【小説】赤い屋根の家 7.竹中のケース②
 僕は階段を昇り始めた。きしむ音が不自然に反響し、やけに耳に残った。
 階段を昇ると、小さいがやはりアルトの鳴き声が聞こえた気がした。奥まった部屋の向こうから、かすかに漏れだしたような。アルトは、ここにいる。僕はそう確信した。

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【小説】赤い屋根の家 6.竹中のケース①
 その日、僕は確かにアルトの声を聞いた。でも、結局見つけることはできなかった。怖い大人に捕まってしまったから。だから、僕はもう一度行かなければならない。あの、赤い屋根の家に。


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【小説】赤い屋根の家 5.三笠のケース
「響子、君とはもう、今日でお別れだ。寂しいけど、わかって欲しい」
 僕は、精一杯の誠意を込めて、噛みしめるように伝えた。胃が無数の小さな針で突かれたように悲鳴を上げる。響子は無表情に僕を見つめている。その二十代の若い眼差しは、何も語ってはくれない。彼女の白いコートと明るい髪の色が闇に映え、すらりと伸びた指先が僕の琴線に触れる。

 闇に静まった池には奇妙なほど風がなく、水面は冬の星々をそのままの姿で池に描いていた。僕は古びたボートに彼女を乗せ、続いて僕も乗り込んだ。響子は池の向こう岸を見つめ、何かを考えているように見える。何を考えているかは、僕にはわからなかった。きっとそれは、誰にもわからないだろう。


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